2021-09-08

「偶然と、必然と、」という展示会で恋に落ちたのは、必然?

お茶の水駅は工事が続いていて、以前の雰囲気とは少し変わっていた。駅を出て歩くこと10分ちょい、中学校だった校舎をリノベした千代田アーツ3331というアートの拠点があり、先日行ってきた。

「偶然と、必然と、」という展示会が開催されていたのだ。

世界22ヶ国から、障害の「ある」「ない」、50名の作家による240点余りの作品が所狭しと並べられていて、外は雨が結構強かったのだけど、会場はものすごいエネルギーの塊で、人はそれほど多くないにもかかわらず熱気にあふれていた。

作家は、精神障害の人が目立った。これでもか、というほどの集中力が投下された作品は「表現せざるを得ない」という叫びのようなものが聞こえる。

すでに海外での評価も高い日本のアーティストも何人かいて、本物を見られたのは嬉しかった。

会場は教室だったのか、広くないのに個々の作品が発する無言のメッセージが強すぎて酸欠状態だったところへ、パッと目に入った作品があった。

枡次崇「うし」

あとりえすずかけ所属のアーティスト、枡次崇(しゅうじたかし)さんのものだ。ボール紙に、パステルで描かれた5点の作品たちは、圧倒されるとかなんとかより、もう、ただ、

「あーーーーー、好き!!!」

うし、は牛らしいのだが、ウサギにも見えるし、黒の中に置かれた背中と前足のブルーがなんとも言えない。他の作品も、はっきりとしたコントラクトと大きな構図がカッコいい!

展示会などで、単純に「好きだ!」と思える作品に出会えることは稀だ。だから、一つでもあればラッキー。それが、いくつかあれば超ラッキー。

今回は、超ラッキーだったわけ。

でも、帰ってから検索したら、ダウン症のご本人は残念なことに今年一月に急逝されていたらしい。絵を描くことも2019年まででやめてしまっていたとのこと。でも500点の作品は残された。

それらを集めて、7月に神戸で回顧展が開かれた様子が見られるが、やっぱりどの絵もいいなぁ。


STORIES|DIVERSITY IN THE ARTS TODAY より

『枡次崇ー静かなまなざし』の展示より(画像はお借りしました)

障害があっても何かにひたむきに打ち込む姿は美しい。東京パラ2020でも、たくさんの感動をもらった。だが、それは障害のあるなしではなく、持てる能力を最大限発揮しようという道筋の賜物なのではないか。そして、それはそれで素晴らしいが、淡々と生きているモノだって美しい。ただなかなか見つけられないだけなのだ。

枡次さんの絵からは、対象と描き手と画面という三者の調和が感じられ、なんとも言えない安心感と喜びに包まれた。彼はどのように見つめ、どのように切り取り、どのように画面に蘇らせていたのだろう?

色々聞いてみたいし、もっともっと絵を見たいと思った。

でも、本人はそんなこと気にしないのかな。。

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